土木工事の積算とは?
やり方、勉強と練習方法を解説
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土木工事は、気象や地形、社会等の諸条件の考慮が必要で、全く同一条件で行われることはありません。そのため、個別の工事ごとに発注者は計画から施工までの一連の工程を実施します。積算もその一部であり、適切な品質の確保と価格の適正化が求められています。
土木工事の積算とは、道路や橋、ダムなどの新設や改良・修繕を行う公共工事において、工事全体の内訳に基づいて、工事費を計算する手法または、その業務のことです。
建設業界では、少子高齢化の影響に加え、業界特有の時間外労働の上限規制や、週休2日制の対象となる公共工事の拡大などが重なり、人手不足が常態化しています。そのため、業務において省力化や効率化に取り組む企業が増えているほか、若手技術者の早期成長が求められています。
本記事では、土木工事の積算のやり方、勉強方法、練習方法について解説します。
土木積算とは?
土木工事の積算とは、道路や橋、ダムなどの新設や改良・修繕を行う公共工事において、工事全体の内訳に基づいて、工事費を計算する手法または、その業務のことです。工事は、工種や種別と呼ばれる小さな工事で構成されており、工種ごとに必要な材料や人件費、使用機材などを拾い出し、合計して全体の工事費を算出します。
公共工事の場合、国や自治体などの発注者自身が、工事の予算となるあらかじめ工事価格(予定価格)を設けており、工事の品質を確保できる適正な金額で設定されています。この予定価格を元に算出した最低制限価格に近い金額で提示した建設会社が落札できる可能性が高まります。
そのため、入札時の積算では、発注者が予定価格の算出と同様に、国土交通省の積算基準や材料などの市場価格が掲載されている物価本などから、発注者が算出する方法と同条件で金額を算出することが不可欠です。
土木工事の「積算」とは?
土木工事(ここでは、公共工事を指します)における「積算」とは、発注者が提示する工事計画である入札公告の内訳に基づき、工事を構成する工種ごとの費用を積み上げ、工事全体の費用を算出する手法または、その業務を指します。
「黄本」と呼ばれる「国土交通省土木工事標準積算基準書」などに記載されている歩掛(ぶがかり)と、材料費などの市場価格を調査してまとめた「建設物価」や「積算資料」などの物価本に掲載されている単価をもとに費用を算出します。
積算の結果をもとに作成した内訳書などの入札に必要な書類を、受注側である建設会社が発注者(国や自治体など)に提出します。適正な価格で工事を請け負うために重要な業務です。
土木積算の「歩掛(ぶがかり)」とは?
土木積算における歩掛(ぶがかり)とは、ある一つの作業を行うのに必要な手間(人手や機械の稼働時間など)を数値化した基準値です。作業内容や現場条件により作業員の職種や作業時間が異なります。歩掛は適正な労務費の算出に欠かせません。
例えば、「1m²のコンクリート舗装をするのに、作業員3人が1時間必要」という基準があれば、それが歩掛です。歩掛のデータをもとに、工事全体にどれくらいの作業員や機械が必要かを計算します。
土木積算の「単価」とは?
土木積算における「単価」とは、資材や人件費、機械の使用料などの「1つあたりの価格」のことです。
例えば、「コンクリート1m³あたり〇〇円」「作業員1人・1日あたり〇〇円」といった形で設定されます。積算では、これらの単価をもとに、工事全体の費用を計算します。
土木工事の積算方法「積算のやり方手順」
土木工事の「積算」は、工事にかかる費用を正確に計算する作業で、工事を受注するために重要な業務です。
おおまかに次の5つのステップで行います。
手順1:積算基準書や物価本を準備する
歩掛が掲載されている積算基準書と、材料などの市場単価が掲載されている物価本を準備します。
例:
「国土交通省土木工事標準積算基準書」
「建設物価(一般財団法人建設物価調査会発行)」
「積算資料(一般財団法人経済調査会発行)」など
手順2:設計書や仕様書などを確認する
国や自治体などが入札公告で提示する工事の内訳を、設計書や仕様書(工事のルールが書かれた書類)を見て、どんな工事をするのか内訳を確認します。
例:
「道路を50m作る」
「橋の基礎をコンクリートで作る」など
手順3:工種ごとの費用を算出する
工事全体は複数の工種で構成されています。まずは、工種ごとの費用を算出します。
例:
以下は道路改良工事の内訳の一部です。
道路を改良する際には、車道と歩道の間のブロックや側溝の設置など、小さな工事がいくつもあります。これらの工事ごとに費用を算出します。
手順4:工事全体の費用を算出する
工種ごとに算出した費用を積み上げ、工事全体の費用を算出します。
手順5:必要書類を作成する
算出した費用をまとめて、入札に必要な書類を作成し、発注者(国や自治体など)に提出します。
ここでは、落札するには適正な工事価格かどうかが重要です。高すぎても安すぎても、入札不調で他社に仕事が取られてしまいます。仮に安い価格で落札した場合、赤字になってしまいます。
土木積算の初心者向け練習・勉強方法
土木積算を知るには、積算業務の手順やルールなどの基礎知識を習得し、具体的な実際の工事事例をもとに計算を体験しながら理解を深めることが大切です。最初は難しく感じるかもしれませんが、実際の工事をイメージしながら、計算を試してみることが、積算を学ぶ近道です。
以下の方法を試してみましょう!
書籍・動画・講座で基本を学ぶ
土木積算の勉強をするには、身近なところでは本・書籍や動画を活用します。
動画なら、スマホさえあればちょっとした隙間時間を利用して学べるため、便利です。
- 関連書籍や参考書を読む
土木積算の業務手順やルールなどの基礎知識を網羅した積算の入門書などを読んで、積算の基本的な考え方を学びましょう。漫画シリーズも入門書としておすすめです。
例:
「土木積算基準マニュアル」
「基礎からわかる公共土木工事積算」
「土木工事の実行予算と施工計画」
「まんが 土木積算入門-実行予算編-」など - YouTubeなどの解説動画を見る
図や実演を交えた動画を見ながら学ぶと、イメージしやすくなります。YouTubeでも無料で閲覧できる動画が多数あります。有料版もあり、社内の研修制度を利用することもできるでしょう。
CPDS(全国土木施工管理技士会の継続学習制度)対象の動画では、自身のスキルアップ・キャリアアップはもちろんですが、会社も入札参加資格審査で加点されるため、CPDS対象の動画を選ぶのも良いでしょう。例:
「施工動画」など - セミナーやオンライン講座を受講する
建設業向けの積算講習を受けると、実務に近い内容を学べます。
CPDS(全国土木施工管理技士会の継続学習制度)対象の講座では、自身のスキルアップ・キャリアップはもちろんですが、会社は入札参加資格審査で加点されるため、CPDS対象の講座を選ぶのも良いでしょう。例:
「土木工事積算実務講習会」など
土木積算基準マニュアルを活用する
土木積算基準マニュアルは、「国土交通省土木工事標準積算基準書」の解説書です。積算基準書に基づき、工種別に積算に必要な基礎的知識を積算事例や図・写真を用いて具体的にわかりやすく解説しています。
- 積算基準にあたる標準歩掛を知る
年に1回、一般財団法人建設物価調査会から発行される「国土交通省土木工事標準積算基準書」に土木工事標準歩掛が書かれています。この積算基準書の解説書にあたる「土木積算基準マニュアル」を併用すると積算基準についてより理解を深められます。
- 歩掛や労務費の計算方法を知る
歩掛は作業量を計算するもので、単位は「人工(にんく)」です。具体的な作業を例に、どのくらい費用がかかるのかを把握しましょう。
工事現場を見てイメージをつかむ
積算基準書や設計書には、工種と言われる各工事項目が出てきます。どんな工事なのか分かることで、作業の流れや必要な機械などがイメージしやすく、積算を行う上でも有効です。
- 現場見学をする
図面や積算だけでは分かりにくい「実際の工事」を見学すると、作業の流れや必要な資材がイメージしやすくなります。
- 工事の写真や動画をチェックする
「この作業にはどんな資材や機械が必要か?」を考えながら写真や動画を見ると、積算の視点が身につきます。
実際の設計書や仕様書を見てみる
実際の公共工事の入札公告時の資料や設計書などの書類を閲覧することで工事項目などを確認したり、積算の答えとなる落札結果と照らし合わせることで、知識を深めることができます。
- 公共工事の積算資料をチェック
国や自治体が公開している設計書や積算基準を見て、どんな情報が載っているか確認してみましょう。
- 実際の入札結果を分析する
会社や先輩に入札結果を見せてもらい、「どの項目にどれくらいの費用がかかるのか」をチェックしたり、自分が試した積算結果と比較したりすることで理解が深まります。
積算を体験する
積算の基本が分かったら、実際に積算を試してみることでより理解を深められます。一度は目にしたことがある「道路舗装」などイメージしやすいシンプルな工事の積算から練習すると良いでしょう。
Excelや積算ソフトの体験版や試用版を使って積算してみるのもおすすめです。
- シンプルな工事の積算をしてみる
まずは「道路舗装」「河川工事」など、工種が少なくシンプルな工事の積算を練習しましょう。
- Excelで計算する練習をする
単価×数量の計算をエクセルでまとめる練習をすると、計算の流れが理解しやすくなります。
- 積算ソフトを使ってみる(トライアル版やお試し版)
実務では積算ソフトを使うことが多いので、ソフトのトライアル版やお試し版、体験版などを試してみるのもおすすめです。
土木積算の業務を効率化する土木積算システム(ソフト)とは?
土木積算を手作業で行うには、一つの工事にかかる各工種を積算基準書で定義や金額の算出方法を調べ、計算し、積み上げることになります。1、2つの工種の積算であればそれほど時間もかからず難しくありませんが、工事全体の積算となると、計算量も多くなり、積算基準の熟知が必要であり、積算に膨大な時間がかかります。
土木積算システムや土木積算ソフトには、積算基準書に記載されている情報が登録されているため、条件を選択していくだけで、計算できます。土木積算の業務の効率化はもちろん、正確な積算を行うには積算ソフトは欠かせません。
土木積算システムや土木積算ソフトを選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 最新の積算基準・単価に対応しているか?
- 操作性がよく、直感的に使える?
- 処理や動作が軽快でストレスを感じないか?
- 入力ミス等を未然に防ぐ自動化機能が充実しているか?
- サポート体制がしっかりしているか?
- コストと機能のバランスが適切であるか? など
おすすめの土木積算ソフト「ゴールデンリバー」
おすすめの土木積算ソフトとして「ゴールデンリバー」をご紹介します。
「ゴールデンリバー」は、1997年のリリース以来、全国の多くの建設業に導入されている積算ソフトです。
土木積算ソフト「ゴールデンリバー」の概要
「ゴールデンリバー」は、公共工事における積算業務の負担を軽減するため、豊富な機能とお使いいただく地域にすぐに馴染む充実したデータを搭載。積算設計図書の条件等を読み取り、自動積算を行えるほか、整合性をリアルタイムでチェックできます。
これにより、積算担当のスキルの差を補い、積算の精度向上に貢献します。
土木積算ソフト「ゴールデンリバー」がおすすめできる理由
「ゴールデンリバー」をおすすめする主な理由は5つです。
理由1:電子設計書の取り込みは精度が高く、処理スピードが速い
「ゴールデンリバー」は、発注機関から提供されるPDFやExcel形式の電子設計書や関連図書の取り込みに対応しています。設計書の取り込みは30秒ほどで完了し、待ち時間なく、すぐに積算結果が入力画面に反映されます。
また、「ゴールデンリバー」は、全体的に動作のレスポンスや処理スピードが速く、ストレスを感じることのない快適な操作性を実現しています。そのレスポンスの良さは、一度使うと手放せないほどです。
理由2:省力化と業務効率につながる自動化機能が充実している
「ゴールデンリバー」は、電子設計書の取り込みによる自動積算機能を搭載しており、取り込むだけで積算の7~9割が完了します。取り込みの精度も高く、費目や数量、条件などの入力ミスを未然に防ぐことができるため、積算精度の向上に繋がります。
さらに、入力画面と電子設計書画面の連動表示や、経費のリアルタイム表示、入力漏れやミスの可能性を促す積算チェック機能、履歴からの選択入力などの自動化機能が充実しています。これらの機能により、経験やスキルに依存せず、誰でも精度の高い積算が可能になります。
理由3:手厚いサポートで積算業務に集中できる
「ゴールデンリバー」は、電話やリモートによる操作サポートを提供しており、問題発生時にも迅速に対応可能です。
また、積算基準や単価のデータは更新頻度も高く、定期的なダウンロード提供により常に最新環境で積算業務を行えます。
さらに、サポート対応を行うスタッフは、「ゴールデンリバー」に関する操作だけでなく、積算業務全般の質問や相談に対応します。長年の開発・販売実績を活かしたアドバイスを提供し、積算業務中の疑問や課題の素早い解決を支援します。
理由4:一定のランニングコストで長期的に安心して利用できる
「ゴールデンリバー」は、積算基準や単価のデータの更新、ソフト本体のバージョンアップを含む「データサポート会員制度」を採用しています。会員契約を継続することで、最新の積算基準・単価データ、最新版ソフト、サポート対応(電話・リモート)、データのクラウド保存などのサービスを追加費用なしで利用可能です。
別途更新費用や再契約費用がかからないため、長期間にわたり安心して利用できます。
理由5:専用クラウド保存で安全にデータを共有・保管できる
「ゴールデンリバー」は、企業の資産となる工事・設計書データや自社単価データは専用のクラウドに安全に保存できます。これにより、社員間のスムーズなデータ共有のほか、遠隔地からのアクセス、災害・機器トラブル時のデータ保護、データ管理の手間の軽減、柔軟な働き方にも対応でき、より安全かつ効率的な運用が可能です。
ゴールデンリバーと無料積算ソフトとの決定的な違い
「ゴールデンリバー」は、公共工事の入札における工事費を算出するための積算ソフトです。
残念ながら、現時点では、積算ソフトの一部の機能となる経費計算などの無料ツールはありますが、公共工事の入札に対応できる無料の積算ソフトは存在しません。
国や自治体からの発注による工事では、信用のある企業の受注が求められます。積算に必要な基準やデータの利用には一般的にはライセンス費が発生することから、無料での提供は難しく、仮に無料ソフトで積算が行えたとしても、積算結果の精度や信頼性には不安が残ります。
「ゴールデンリバー」は、確かな積算基準や単価データ、長年の販売実績と検証を重ねた独自データを搭載しており、積算担当の入力負担を軽減しながら、精度の高い積算を実現します。
さらに、設計書の取り込みによる自動積算や、入力ミスを未然に防止するチェック機能など、便利な機能が充実し、業務効率化を促進し、建設業界の人手不足解消にも貢献します。